エアコンの廃棄や移設したい場合は、エアコン内にあるガスを、室外機に閉じ込める作業「ポンプダウン」をする必要があります。
今回はエアコンの取り外し方法とポンプダウンのやり方を解説していきます。
エアコンのポンプダウンとは
エアコンのポンプダウンとは、冷媒ガスをエアコンの室外機に閉じ込める作業のことをいいます。
よく電気工事士やエアコンの取り付け取り外しの職人さんとかの間では、エアコンのガス回収とも言ったりします。
エアコンのポンプダウンがなぜ必要かというと、エアコンの取り外しをするさいに冷媒ガスを外に出さないようにする為です。
エアコンのガスを外に放出してしまっては、環境破壊にもつながりますし、移設先でガスの少ないエアコンを取り付けても、冷暖房が効かないという事態になってしまいます。
エアコンの取り外しとポンプダウンの手順
エアコンの取り外しをするさいには、はじめにエアコンのポンプダウンを行います。
必要な工具は
- 4mmの六角レンチ
- プラスドライバー
- モンキーレンチ2本
- カッター
- ボルトクリッパー
以上、全部で6点になります。
ボルトクリッパーはなしでも取り外しは可能ですが、あると便利です。
銅管を移設先で再利用したい場合は、ボルトクリッパーで銅管を切断する作業は行わず、モンキーレンチで取り外しを行います。
それではまず初めにエアコンのポンプダウンの手順を解説していきます。
強制冷房運転
まずはエアコンの強制冷房運転を行い、コンプレッサーを動かします。
真夏の暑い時期でしたら、普通の冷房運転でもコンプレッサーは動くので、強制冷房運転を行う必要はありません。
真夏の場合でしたら、普通に冷房をつけてコンプレッサーを動かしてください。
強制冷房運転のやり方はメーカーによって違いますが、応急運転ボタンの長押しが一般的です。
もしやり方がわからない場合は、メーカーに電話で聞けば教えてくれると思います。
次に室外機の外カバーを外します。
いろいろなメーカーの室外機を見てきましたが、どのメーカーもプラスネジを1本〜2本とれば、カバーは外れます。
カバーを外したらバルブのカバーをモンキーレンチで外します。
ちなみに「細い銅管の方が高圧バルブ」「太い銅管の方が低圧バルブ」になります。
ほとんどのエアコンは高圧バルブが上で、低圧のバルブが下になっています。
この後重要になってきますので、低圧バルブと高圧バルブは間違えないようにしてください。
バルブをのカバーを低圧高圧ともに外したら、次に室外機のファンが回っているか確認します。
ファンが回っているのを確認したら、まずは銅管の細い方のバルブ(高圧側)のバルブを閉めていきます。
4mmの六角レンチを差し込んで時計回りに回していくだけです。
注意点としてはあまり強くしめすぎないことです。
それと、高圧のバルブを閉めることにより、エアコンないにあるガスが室外機中に入っていき回収されていきます。
マニホールドという機械をつけていればガス圧をみて回収されてるか確認することができるのですが、今回はマニホールドをつけていないので、回収されているか確認することはできません。
なので、通常は30秒くらいあれば、ガスの回収は終わるのですが、少し回収時間を長めにして、高圧バルブをしめて2分くらい待つようにします。
次に低圧のバルブを閉めていきます。
バルブを閉める前に室外機のファンが回っていることを確認し、同じように4mmの六角レンチを低圧バルブ側に差し込み、時計まわりに回して閉めていきます。
閉め終わったらこれでポンプダウンは完了です。
エアコンの冷媒ガスは室外機の中に閉じ込められましたので、エアコンを取り外してもガスが吹き出たりすることはないはずです。
エアコンの取り外しの手順
次にエアコンの取り外しにかかります。
まずはエアコンの電源を切り、コンセントから電源ケーブルを抜きます。
コンセントに入れたまま作業を行うと、ショートしますので必ずコンセントを抜いてから作業をしてください。
操作線の取り外し
次に操作線を取り外していきます。
機種によって違いはありますが、まずはエアコンの室内機の前面のカバーをあけます。
次に、右側にある操作線を隠してあるカバーをプラスドライバーではずし、上の画像の矢印部分をプラスドライバーなどで押しながら、操作線を引き抜きます。
次に室外機側の操作線をはずしていきます。操作線のカバーをプラスドライバーで外し、
上の画像のドライバーでさしている部分を押しながら、操作線を引き抜きます。
銅管の取り外し
次に高圧と低圧の銅管を取り外していきます。
2本モンキーを使って取り外していきます。上の画像は一本はスパナを使用していますがどっちでも大丈夫です。
高圧、低圧順番はどちらからでも大丈夫です。
この時ガスが大量に吹き出るようでしたら、ポンプダウンはちゃんとできていない証拠です(ポンプダウンがちゃんとできていてもプシュっとガス残り一瞬でる場合はあります)。
ナットをしめてまたポンプダウンからやり直しましょう。
次に室内機に近い方の銅管の接続部分をはずしていきます。
エアコンの取り付け位置によって、この接続部分が室内にあったり、
室外にあったりします。
それとドレインホースのジョイント位置も、室内にあったり室外にあったりします。
これもエアコンの取り付け位置によって変わってきます。
エアコンの廃棄なら、ドレインホースはカッターで簡単に切れるのでカットしてしまってもOKですが、移設の場合は再利用したいのでカットしないでジョイント位置を見つけて、取り外すようにししましょう。
これで操作線、銅管、ドレインホースのジョイント部分の取り外しは完了です。
室内機の取り外し
次に室内機を取り外していきます。
室内機は背板にかぶさっているだけで、特にビスでとまっていたりはしません。
メーカーや機種によっても変わってきますが、エアコンの下の部分にひっかかりがあり、その部分を押しながら引くとはずれるタイプのものが多いです。
このような背板にかぶさっているだけなので、下のひっかかりを外して上に軽く持ち上げながらエアコン本体をとる感じです。
最後に
エアコンの取り外しと、ポンプダウンの方法は以上です。
エアコンの移設の場合はポンプダウンを失敗すると、移設先でエアコンが冷えないというトラブルになってしまいますが、廃棄する場合は少しぐらいガスが抜けてもそこまでは問題ありません(環境は破壊にはつながります)。
ただガスに触れると低温やけどを起こすので、銅管を外す時はゴム手袋をしながら注意して行うようにしてください。