ガソリン車に軽油を入れてしまった場合の対処と修理方法

ガソリン車に軽油を誤って給油してしまった場合の対処や修理方法について、解説を行います。

この問題は特に初心者ドライバーや軽油とガソリンの違いを把握していない人々にとって混乱を招くことがあり、適切な対処をしないとエンジンの重大な損傷に繋がる可能性があります。

ガソリン車に軽油を入れてしまった場合の対処と修理方法

• ガソリン車に軽油を入れた場合の問題点
• 対処や修理方法の流れ
• 自分で修理する場合の注意点
• 予防策

ガソリン車に軽油を入れた場合の問題点

ガソリン車と軽油車は、燃料システムが根本的に異なります。ガソリンエンジンは点火プラグで燃料を着火させる仕組みですが、ディーゼルエンジン（軽油を使用）は燃焼室内で圧縮した空気の熱で軽油を自然に着火させる仕組みです。

軽油をガソリン車に入れると、次のような問題が発生します。

• エンジンが始動しない：軽油はガソリンと異なり、点火プラグで着火しません。したがって、エンジンが燃焼プロセスを開始できないため、始動しない場合が多いです。
• エンジン内部の損傷：軽油の粘度や燃焼特性はガソリンとは異なるため、ガソリンエンジンに適合していません。軽油が燃焼しないため、エンジン内部でススが溜まり、エンジンのパーツが汚れてしまうことがあります。また、エンジン内部の燃料ポンプやインジェクターにダメージが及ぶこともあります。
• 燃料系統の詰まり：軽油はガソリンに比べて粘度が高いため、ガソリン車の燃料フィルターやインジェクターを詰まらせるリスクがあります。これにより、燃料供給が遮断され、エンジンが動作不良を起こす可能性があります。

対処や修理方法の流れ

誤って軽油をガソリン車に入れてしまった場合、速やかに適切な対応を取ることが必要です。以下に、修理方法を順を追って説明します。

基本的には専門の修理工場にて対処することをおすすめします

1.車両を停止する

まず、軽油を給油したと気づいた時点で、すぐに車両のエンジンを停止します。もし既にエンジンをかけていた場合、燃料がエンジン内部に流れ込んでいる可能性があるため、迅速な対応が必要です。

エンジンを停止した後は、車を安全な場所に移動し、レッカー車の手配を検討してください。誤って軽油を入れた車をそのまま走行させると、エンジンや燃料システムにさらなるダメージを与える可能性があるため、無理に走行しないことが重要です。

2 .燃料タンクの排出

次に行うべき手順は、燃料タンク内の軽油を完全に排出することです。この作業は、専門の整備工場で行うのが一般的ですが、以下の手順で説明します。

• 燃料タンクの排出方法：車の下部にある燃料タンクのドレインプラグを外し、タンク内の軽油をすべて排出します。最近の車では、ドレインプラグがない場合もあるため、その場合は燃料タンクにアクセスできる部分を開けて、吸引機を使って軽油を抜き取る必要があります。
• 燃料ラインの洗浄：軽油が燃料タンクからエンジンへ供給される過程で、燃料ラインにも軽油が残っている可能性があります。これらのラインは、エアーコンプレッサーやクリーナーを使用してしっかりと洗浄する必要があります。燃料ラインの軽油が完全に除去されないと、エンジンに損傷が及ぶリスクが高まります。

3 燃料フィルターの交換

軽油が燃料フィルターに到達している場合、フィルターの詰まりや劣化が発生することがあります。そのため、軽油が誤って給油された場合は、必ず燃料フィルターを交換する必要があります。

• 燃料フィルターの役割：燃料フィルターは、燃料中の不純物を取り除き、エンジンにクリーンな燃料を供給する役割を果たしています。軽油はガソリンよりも粘性が高く、フィルターを詰まらせやすいため、軽油が一度でもフィルターを通った場合は、交換が推奨されます。

4 エンジン内部の点検

軽油を誤って給油した車でエンジンを始動した場合、エンジン内部にダメージが及んでいる可能性があります。この場合、エンジンの各パーツを点検し、必要に応じて修理または交換を行います。

• インジェクターの点検：ガソリン車のインジェクターはガソリン専用に設計されています。軽油がインジェクターに流れ込むと、詰まりや動作不良を引き起こす可能性があります。インジェクターが損傷している場合、交換が必要になることもあります。
• シリンダーヘッドの点検：エンジン内部の燃焼室（シリンダーヘッド）に軽油が流れ込んでいる場合、軽油が燃焼せずにカーボンの堆積を引き起こすことがあります。これが長期間にわたり蓄積すると、エンジン性能が低下し、最悪の場合エンジンが故障する可能性があります。

5 オイルと冷却水の交換

軽油がエンジン内部に浸透している場合、エンジンオイルにも軽油が混入している可能性があります。オイルと軽油が混ざると、オイルの潤滑性が低下し、エンジン内部のパーツが損傷を受けるリスクが高まります。

• エンジンオイルの交換：オイルパンのドレインプラグを開け、オイルを完全に抜き取ります。その後、新しいオイルを補充します。念のため、オイルフィルターも交換することをお勧めします。
• 冷却水の点検：軽油が冷却システムに混入することは稀ですが、万が一混入している場合は冷却水も交換する必要があります。

自分で修理する場合の注意点

車の知識があり、DIYで修理を試みる場合もありますが、以下の点に注意してください。

• 安全性の確保：燃料を扱う作業は非常に危険です。特に燃料タンクの排出作業中は、引火の危険性があるため、火気厳禁の環境で行う必要があります。また、適切な工具と設備を使用し、燃料を取り扱う際には防護具を着用することを忘れないでください。
• 作業の難易度：燃料タンクの排出や燃料ラインの洗浄は、専用の設備が必要な場合があり、個人で行うには限界があるかもしれません。また、エンジンの分解や内部の点検も高度な知識と技術を要します。
• 専門業者に依頼することの利点：軽油を誤給油してしまった場合、整備工場やディーラーに修理を依頼することが一般的です。プロの技術者は適切なツールと知識を持っており、燃料系統やエンジンの修理を効率的かつ安全に行うことができます。

予防策

誤給油を防ぐために、日常的にできる対策をいくつか紹介します。

• 給油時に燃料キャップの表示を確認する：ガソリン車には、通常「Unleaded Fuel Only」

などの表示があるため、給油前に確認することが重要です。

• 給油ノズルの形状に注意する：軽油の給油ノズルはガソリン車の給油口に比べて太めに作られているため、通常は物理的に挿入できない設計になっています。ただし、古い車両や一部の給油スタンドでは、この設計が適用されていない場合もあるので、注意が必要です。
• 燃料カードやステッカーを使用する：燃料カードや車両に貼るステッカーを使って、どの燃料を使うべきかを明示しておくと、特にレンタカーや家族で共有している車両では誤給油を防ぎやすくなります。

ガソリン車に軽油を入れてしまった場合の対処、修理方法を総括

ガソリン車に軽油を誤って給油した場合、速やかに適切な対処をすることで、エンジンや燃料システムの損傷を最小限に抑えることが可能です。

重要なのは、エンジンを始動させないこと、燃料タンクを完全に排出し、燃料ラインやフィルターを適切に洗浄または交換することです。

専門業者に修理を依頼することで、より安全かつ確実に問題を解決できるため、迷った場合はプロに任せるのがベストです。